『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』が最終回を迎える。水曜ドラマ(日本テレビ系)で放送されている本作は、株式会社オウミに入社した田中麻理鈴(今田美桜)が、憧れのT・Oさん(向井理)と出会うために、先輩の峰岸雪(江口のりこ)から指南を受けて「出世」を目指す姿を描いたドラマだ。
《恶女~谁说工作不酷的?~》迎来最终回。该剧每周三在日本电视台播出,讲述了OHMI株式会社的新人员工田中麻理铃(今田美樱饰演)为了邂逅爱慕的T·O先生(向井理饰演),在前辈峰岸雪(江口德子)的指导下以“出人头地”为目的而努力拼搏的故事。
原作は1988年から1997年にかけて深見じゅんが連載していた漫画『悪女(わる)』(講談社)。1992年に石田ひかり主演で一度ドラマ化されている。2022年版『悪女(わる)』と1992年版『悪女(わる)』を見比べると、ファッションやテクノロジーの変化は大きいが、会社における男女格差の問題は今も変わらないと感じた。だからこそ作り手もリメイクしようと考えたのだろう。
电视剧改编自漫画家深见纯于1988年至1997年连载的漫画《恶女》(讲谈社)。石田光主演了92版电视剧《恶女》。22版《恶女》与92版相比,无论是时尚审美还是科技技术都有着巨大进步,但职场性别不平等的问题却没有改善。这可能也是创作者决心重新翻拍该作品的原因吧。
1992年版『悪女(わる)』はトレンディドラマブームの余波で作られた作品だったが、当時の社会の空気が強く反映されていた。バブルが崩壊し、少しずつ平成不況の気配が漂っていたが、まだ日本が豊かだった時代。女性の社会進出は進んでいたものの、日本の企業の多くはいまだ男社会で、年功序列・終身雇用という昭和のサラリーマン社会は続いていた。男は定年まで働き、女の仕事はお茶組みとコピー取りといった雑用ばかりで、入社して2~3年後には結婚相手を見つけて寿退社することが当たり前とされていた時代。「仕事のために結婚を諦めるか? 結婚を選び仕事を辞めるか?」という苦しい二択を女性は迫られており、結婚、出産後に再び働こうとしても再就職は難しかった。そして会社には女性の出世を阻む「ガラスの天井」が存在した。
92版《恶女》是在偶像剧热潮的余波中进行创作的,但强烈反映出了当时的社会风气。泡沫经济崩溃,平成不景气的迹象逐渐浮现,但这依旧是一个富裕的时代。虽然女性的社会地位有所提高,但大多数日本企业依旧以男性为导向,延续着以年功序列制·终身雇佣制为特征的昭和工薪阶级社会。那是一个男性可以一直工作到退休,女性只能做些端茶送水复印文件等杂事工作且在进入公司的2~3年后会结婚生子离开职场的时代。“是为了事业当不婚族?还是为了婚姻放弃事业?”女性被迫在这两种选项中艰难抉择,结婚生子后很难重返职场。而且企业中还存在阻碍女性出人头地的“玻璃天花板”。
そんな理不尽な会社組織を、田中がゲームをクリアするように次々と「出世」していく『悪女(わる)』の物語は、当時、とても新鮮だった。田中の動機がT・Oさんへの「恋」というのも素晴らしく、「仕事と結婚は二択ではなく、両立できない状況はおかしいのではないか?」という問いかけとなっていた。だからこそ、峰岸が子育て中の女性の再就職を後押しする派遣会社を立ち上げる姿が、クライマックスでは肯定的に描かれたのだろう。
92版《恶女》讲述的就是在这样不平等不讲理的企业组织中,主人公田中犹如玩儿清除游戏一样破关斩将一步步“出人头地”,在当时这个题材相当新颖。田中努力晋升的动力是对T·O先生的“爱慕”,这也是该作品一大亮点,提出了“事业与婚姻并非两个对立面,二者就无法同时兼顾吗?”。也因如此,在剧作高潮阶段正面描写了峰岸成立派遣公司,帮助女性在抚养子女的同时重新就业。
2022年版『悪女(わる)』でも「恋」のために田中が出世を目指す姿が反復されている。多様性、男女平等、働き方改革といった理想こそ普及しているが、出世を拒む「ガラスの天井」は温存されており、それが女性社員を苦しめている。最初にそのことを実感させられるのが、人事部を取りまとめる夏目聡子が女王蜂症候群と言われ、女子社員からも煙たがれている姿だ。2022年版『悪女(わる)』で夏目を演じるのは、1992年版で田中を演じた石田ひかりなのだが、かつて出世を目指して楽しく仕事をしていた田中の「その後」を見せられたようで、複雑な気持ちになった。
22版《恶女》与前作设定一致,主人公田中同样是为了“爱”而努力出人头地。虽然多样性、男女平等、工作方式改革等理想正在倡导,但阻碍女性晋升的“玻璃天花板”依旧存在,这使女性职员的处境困难。最早能体现这一点的就是,人事部主管夏目聪子被同事们称作女王蜂症候群,被女性职员们疏离。22版夏目这个角色的扮演者就是92年版“田中”石田光,仿佛看到了田中的“未来”,曾经为了晋升而努力乐观地工作,如今却落得如此结局,不免唏嘘。
第3話で峰岸は「女性社員はみんな田中麻理鈴」と言う。1992年版『悪女(わる)』の最終話でも峰岸(倍賞美津子)は「誰の中にも田中麻理鈴はいるの」と言い、働く女性の象徴として田中は描かれていた。初代・田中を演じた石田ひかりが、新人社員の田中の足を引っ張る姿を見ていると、始めは誰でも理想に向かって前向きに働けるが、年を重ねるにつれ「組織のしがらみによって疲弊してしまう」と言われているようにも響く。石田ひかりの苦しそうな表情は、1992年版『悪女(わる)』が示した理想がいまだ実現されていない日本社会が抱える30年間の停滞を表している。
第3集中峰岸说道“女性职员都是田中麻理铃”。92版的最终话峰岸(倍赏美津子饰演)也说过相同的话“每个人的内心都有一个田中麻理铃”,田中这个形象就是众多职场女性的缩影。饰演初代田中的石田光在22版剧中刁难着努力想要晋升的田中,就像是刚出入职场任谁都会为理想努力拼搏,但随着年龄阅历的增长,最终还是会被“组织架构折腾得疲惫不堪”。田中光的苦涩神情,意味着日本社会30年来的停滞不前,92版《恶女》中提出的理想还未实现。
そんな「ガラスの天井」を打ち砕くことが峰岸の目的だということは、2作の『悪女(わる)』に共通するテーマだが、1992年版では「女性のための派遣会社設立」だった峰岸の計画は、2022年版では「女性管理職を5割にする」プロジェクト、通称「JK5」となっている。
峰岸的目标就是打碎“玻璃天花板”,这也是新旧两版《恶女》共同的主题,不同的是92版峰岸意在“为女性创建一个派遣公司”,22版则计划推进“女性管理层占五成计划”,通称“JK5”计划。
峰岸が支援する島田専務が次期社長に就任したことでJK5プロジェクトはスタートする。優秀な女性社員が抜擢する峰岸。しかし強引な改革は社内で反発を呼び、職場の空気は悪化。管理職を辞退し会社を辞める女子社員も現れる。
峰岸支持岛田专务成为下一任社长,并开启JK5计划。负责选拔优秀女性职员。但此次强硬的改革在公司内部激起了员工们的反对,公司舆论氛围恶化。出现了辞去管理职甚至辞职退社的女性员工。
一方で男性管理職のリストラも進行しており、その裏でT・Oさんこと田村収(向井理)が暗躍していることが明らかとなる。男女平等を目指した結果、ついてこれない社員は男女問わずに切り捨てていく「能力主義」へと向かう峰岸と田村のやり方に田中が疑問を抱き、反旗を翻したところで、第9話は終了した。果たして最終話はどうなるのか?
另一方面,男性管理职也被强行离职,这一切的幕后推手就是T·O先生也就是田村收(向井理饰演)。第9集最后,田中对峰岸和田村这种虽以男女平等为目的却不论男女铲除异己的做法抱有质疑,并开始反抗。最后一集会是怎样的走向呢?
1992年版と比べると、コミカルで漫画チックな描写が増えている2022年版『悪女(わる)』だが、描かれる問題は1992年版よりも深刻で生々しいものとなっている。『悪女(わる)』が描く会社の困難は、今の日本が抱えている課題そのものである。
与前作相比,22版更加喜剧化、动漫化,但同时讲述的问题也更加深刻形象。《恶女》所讲述的企业困境,也正是当今日本面临的一大课题。
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